『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』(光瀬憲子)

 

台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅 (TABILISTA BOOKS)

台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅 (TABILISTA BOOKS)

 

台湾にはあまり酒場がない。夜市に行ってもアルコールを飲みながら食べている人は、十中八九観光客のような気がする。

なぜか。台湾は1947年から1987年にかけて戒厳令下にあり、外でアルコールを飲むようなことができなかったから、という説を聞いた。戒厳令が撤回されてから30、これから変わってゆくのかもしれない。

 

ゆるふわな台湾ガイドが大勢を占めるなか、本書は「台湾”せんべろ”天国」という章がもうけられているように、かなり酒飲み寄り(笑)もちろん麺や小籠包、かき氷なども紹介しているのだけど、本書のホルモン率はかなり高い。

酒飲みの人の勧めるもので気を付けなければいけないのは、たいてい味がしっかりしていること――しょっぱいことが多いということだ。台湾の料理は薄味が多く、パンチがないという人もいるくらいだが、しょっぱいものは存在する。そればかり頼んでしまうと白飯なしでは食べきれないことになってしまう。

もうひとつ、著者は台北に7年住み、いまはコーディネーターとして働いてらっしゃるので、下町を多く紹介している。治安がいいと言われている台北でも、夜に観光の女性がひとりで出歩かないほうがいいエリアが存在していて、龍山寺を中心とした艋舺が筆頭で挙がる。昔はもっと危なく、いかがわしいエリアだったそうだが、「夜、女性だけで行くのは勧めません」とホテルのおじさんが真顔で言ったので、わたしはそれを信じています。

 

結論:旅慣れた人かつ2回目以降の台湾旅行に役立つ本。★3.5